開催趣旨

オープンダイアローグへの認知度が高まりつつある一方で、「オープンダイアローグを現場に導入すること」の難しさや壁を感じている方も多くいらっしゃるように思います。
オープンダイアローグを必要としている人がたくさんいるにもかかわらず、なかなか対話の場を提供することができていない現状にもどかしさと残念さを感じています。

“いろんな場所で対話実践する人を増やしたい”

「オープンダイアローグを体験したい」という人も、「現場で取り入れたい」と願っている人も、みんなで一緒に「これからの日本のオープンダイアローグ」について考えませんか?
分野を超えて集い、これからのオープンダイアローグを共に考える機会として2日間の未来会議を企画しました。

この2日間は、「きく」「みる」「はなす」を織り交ぜた時間となります。
一方的に観るばかりでなく、対面でもオンラインでも自分の感じたことを話す時間も大切にしたいと思っています。

【この未来会議はファンドレイジングを兼ねています】
今後、こちらのチケット代の売上金を使って、すでにオープンダイアローグ的対話実践をしている方々と定期的に話し合うワーキンググループをつくりたいと考えています。クリニックや病院への導入の課題や、実践の中での悩みをわかちあい、実装していくための知恵を共有し、そこで得られた学びや気づきは、今後皆さんにも発信していきたいと考えています。
オープンダイアローグの未来に向けて、FLATが歩みだそうとしている一歩にお力添え頂けないでしょうか。どうぞよろしくお願い致します。

プログラム

Day1:実践が交差する日
1日目は、オープンダイアローグ、リフレクティング、ナラティヴ・セラピーなど、異なる実践が出会う「ポリフォニートーク」から始まります。 それぞれの背景や哲学に触れたうえで、午後からはオープンダイアローグとナラティヴ・セラピー、それぞれのリフレクティングや進め方を体感する「ライブセッション」を行います。
昨年、私たちが対面でのライブセッションを体験した際、
なぜそのような進行をするのだろう、そこでは何を心配し、何を大事にしているのだろうということをたくさん学ばせていただきました。
“見たこともないものを、実践することは難しい”
ライブセッションから学べることをみなさんとわかちあいたいという想いで、オープンダイアローグだけでなくナラティヴ・セラピーの方々にもご協力いただくことにしました。

Day2:未来を語る日
2日目は、今FLATが心配している「オープンダイアローグの未来」について取り上げ、多職種連携のやり方のひとつでもあるフィンランド発の「未来語りのダイアローグ(アンティシペーションダイアローグ)」を行います。みなさんの組織や団体における“対話のヒント”にもなるかと思います。

タイムスケジュール

〈1日目 7月20日(日)10:00~16:30〉

10:00~ オープニング
10:15~ ポリフォニートーク(90分):オープンダイアローグ×リフレクティング×ナラティヴ・セラピー
    「なぜこのアプローチを大事にしたいのか~それぞれの臨床背景と実践の現在位置~」
     登壇者:オープンダイアローグ:斎藤環さん、村上純一さん、戸田周公さん、小畑あきらさん
         ナラティヴ・セラピー:国重浩一さん、白坂葉子さん、奥野光さん
     進行役:FLAT
11:45~ 《昼食休憩》
12:45~ オープンダイアローグの説明
12:55~ ライブセッション1(60分):オープンダイアローグ
      進行&リフレクティング・チーム:村上純一さん、山中一紗さん、星野概念さん
13:55~ セッション1のふりかえり(ナラティヴの視点から)
      リフレクター:横山克貴さん、白坂葉子さん、奥野光さん
14:25~ 《15分休憩》
14:40~ ナラティヴ・セラピーの説明
14:50~ ライブセッション2(70分):ナラティヴ・セラピー(OW&R) 
      進行&リフレクティング・チーム:国重浩一さん・横山克貴さん・白坂葉子さん
      話し手: 星野概念さん(予定)
16:00~ セッション2のふりかえり(オープンダイアローグの視点から)
      リフレクター:斎藤環さん、村上純一さん、山中一紗さん
16:30 終了
17:00~19:00 交流会
         対面参加:別会場にて※任意参加 
         オンライン参加:ZOOMのブレイクアウトルームを使用※任意参加

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〈2日目 7月21日(月・祝)10:00~16:30〉

10:00~ 2日目のオープニング
10:10~ 分野を超えてつながる「未来語りのダイアローグ」
     進行:白木孝二さん+板書係:高橋ゆう子さん
     心配事を話す人:FLAT 
     同席する人:村上純一さん、国重浩一さん、戸田周公さん、大井雄一さん
13:00~ 《昼食休憩》
14:00~ 未来語りのダイアローグのふりかえり
15:00~ 未来会議2日間のふりかえり・感想共有
     (会場参加の人同士・オンライン参加の人同士で感想共有/登壇者で話す時間)
16:00~ クロージング
16:30  終了 

開催概要

●開催日時:7月20日(日)〜21日(月・祝)

1日目 7月20日(日)  10:00~16:30 + 交流会 17:00~19:00(任意)
2日目 7月21日(月・祝)10:00~16:30

●場所:SHIDAXカルチャーホール 最寄り駅:渋谷駅

●参加費:

①対面参加(交流会参加費含む) 応援チケット:4万円  一般チケット:3万円
※交流会の参加の有無についてはフォームにてお知らせください、不参加でも大丈夫です。交流会の会食費はチケットに含まれています。

②オンライン参加 応援チケット:2万円  一般チケット:1.5万円  当事者チケット:8千円

※①②ともアーカイブ(後日視聴)をお送りします。ライブセッション及びそのふりかえりの後日配信はありません。

●お申込先(現地参加/オンライン参加の2種類あります)

①現地参加:https://odmirai2025.peatix.com/

②オンライン参加:https://online-odmirai2025.peatix.com/

登壇者プロフィール

●斎藤環(さいとうたまき)さん
つくばダイアローグハウス院長。精神科医で筑波大学医学医療系社会精神保健学・教授。オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン共同代表。著書に『やってみたくなるオープンダイアローグ』(共著)、『オープンダイアローグとは何か』(著・訳)、『オープンダイアローグがひらく精神医療』(著)、『イルカと否定神学 対話ごときでなぜ回復が起こるのか』(著)、『開かれた対話と未来』(訳)ほか多数。

●村上純一(むらかみじゅんいち)さん
1976年生まれ。琵琶湖病院・精神科医師。2015年に「当事者に関することを当事者と一緒に決める」取り組みを開始し、オープンダイアローグや対話実践を少しずつ臨床に取り入れ始めている。主著は『オープンダイアローグ  実践システムと精神医療』(共著,東京大学出版会),『精神科の薬について知っておいてほしいこと:作用の仕方と離脱症状』(共訳,日本評論社),『サイコーシスのためのオープンダイアローグ  対話・関係性・意味を重視する精神保健サービスの組織化』(共訳,北大路書房)など。

●山中一紗(やまなかかずさ)さん
精神保健福祉士。手話通訳士。聴覚障害者の自立生活センター、市役所障害福祉課を経て、琵琶湖病院在勤。
精神科病院における対話実践導入の試みに参画し、オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパンのアドバンスドコースを修了。
現在、SE(ソマティック・エクスペリエンシング)公式トレーニング受講中、IFS(内的家族システム療法)公式トレーニング受講予定。
危機的な状況に際し、対話のプロセスを通じて生じている現象を共有し、ソーシャルワークやトラウマへのアプローチによって解消を目指すあり方を模索している。

●星野概念(ほしのがいねん)さん
精神科医 など。精神科医として働くかたわら、執筆や音楽活動も行う。いくつかの場所での連載や寄稿のほか、著作もあり。音楽活動はさまざま。著書に、いとうせいこう氏との共著 『ラブという薬』(2018)、『自由というサプリ』(2019)(ともにリトル・モア)、単著『ないようである、かもしれない〜発酵ラブな精神科医の妄言』(2021)(ミシマ社)、『こころをそのまま感じられたら』(2023)(講談社)がある。対話や養生、人がのびのびとできることについて考えている。

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●国重浩一(くにしげこういち)さん
1964 年、東京都墨田区生まれ。ニュージーランド、ワイカト大学カウンセリング大学院修了。日本臨床心理士、ニュージーランド、カウンセラー協会員。鹿児島県スクールカウンセラー、東日本大震災時の宮城県緊急派遣カウンセラーなどを経て、2013年から2023年までニュージーランドに在住。 現在、滋賀県大津市に在住。
2013年に移民や難民に対する心理援助を提供するための現地NPO 法人ダイバーシティ・カウンセリング・ニュージーランドを立ち上げる。2019 年には東京に一般社団法人ナラテイヴ実践協働研究センターの立ち上げに参加。 
 著書に、『ナラティヴ・セラピーの会話術」(金子書房)、『震災被災地で心理援助職に何ができるのか?」(編著、ratik)、『どもる子どもとの対話』(共著、金子書房)、 『ナラティヴ・セラピーのダイアログ』(編著、北大路書房)、『ナラティヴ・セラピー・ワークショップ BOOK Ⅰ&Ⅱ』(北大路書房)、『もう一度カウンセリング入門』(日本評論社)など。

●奥野光(おくのひかる)さん
愛媛県生まれ。臨床心理士。ナラティヴ・セラピスト。翻訳家。現在は大学の学生相談室でカウンセラーとして活動。
共著に『セラピストの物語/物語のセラピスト』日本評論社、『ナラティヴ・セラピーのダイアログ』北大路書房。訳書に『サバイバーと心の回復力』金剛出版、『ナラティヴ実践地図』金剛出版、『ナラティヴ・プラクティス』金剛出版、『ふだん使いのナラティヴ・セラピー』北大路書房、『手作りの悲嘆』北大路書房、『会話・協働・ナラティヴ アンデルセン・アンダーソン・ホワイトのワークショップ』金剛出版、『リフレクションズ ナラティヴと倫理・社会・スピリチュアリティ』金剛出版、ほか多数。

●横山克貴(よこやまかつき)さん
1990年、神奈川県相模原市生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了、博士課程在籍。臨床心理士、公認心理師。2018年にニュージーランド、ワイカト大学へ留学。その後、一般社団法人ナラテイヴ実践協働研究センターの立ち上げに参加。
著書に、 『ナラティヴ・セラピーのダイアログ』(編著、北大路書房)、訳書に『ナラティヴ・セラピー入門』(北大路書房)など。

●白坂葉子(しらさかようこ)さん
1987年、鹿児島県鹿児島市生まれ。鹿児島大学大学院臨床心理学研究科修了。臨床心理士。伊佐市こども課にて子どもの発達支援、子育て支援に携わった後、2018年にニュージーランドへ。その後一般社団法人ナラティヴ実践協働研究センターの立ち上げに参加。精神科病院、学生相談などの仕事を経験しつつ、現在も同法人で活動中。

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未来語りのダイアローグ進行役

●白木孝二(しらきこうじ)さん
Nagoya Connect & Share 代表
RDI®️Program Certified Consultant  臨床心理士
論文・著書(分担執筆)に「オープンダイアローグの対話実践、そして援助者の在り方について」『精神看護』 2015.11 医学書院
「開かれた対話―セラピストのあり方」『臨床心理学』 第15巻5号2016.09  金剛出版
「ダイアローグ実践の哲学と臨床姿勢」『オープンダイアローグ 実践システムと精神医療』 石原、斎藤 編2022 東京大学出版会
訳書(共訳)に『精神科診断に代わるアプローチ PTMF』 L・ジョンストン、M・ボイル著 石原/白木/辻井/西村/松本 訳 2023 北大路書房、『サイコーシスのためのオープンダイアローグ』N・パットマン、B・マーティンデール編 石原孝二編訳 2023 北大路書房

●高橋ゆう子(たかはしゆうこ)さん
2017年にED(アーリーダイアローグ)とAD(アンティシペーションダイアローグ)の社会実験が行われたロバニエミ市とヌルヴィヤルヴィ市の実践に触れ、2018年にノルウェーオスロでのEDの実践や多職種連携について学ぶ機会を得たことをきっかけに、保育や教育現場での導入を試みている。それらの実践を通して、その意義だけでなく、難しさも浮かび上がってきていて、今の私自身の心配ごととなっている。

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●戸田周公(とだなりたか)さん
オープンダイアローグ・トレーニング基礎コース第二期生修了。2019年度AD(アンティシペーション・ダイアローグ)ファシリテーター認定コース修了。 りすにんぐファーム代表、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー 公認心理師、精神保健福祉士、社会福祉士

●小畑あきら(おばたあきら)さん
1960生まれ京都出身。任意団体・対話之町京都ヲ目指ス上京を立ち上げ「対話之文化まつり」等多様なイベントを企画開催。斎藤環さんの著書「オープンダイアローグとは何か」でオープンダイアローグに出会う。中井久夫さんの「翌日の医者」からヒントを頂き「前日のただの人」として、地域で何かが起こる前にオープンダイアローグやリフレクティング・プロセス、修復的対話・トーキングサークル、ユマニチュードなどから何かを引っ張り出し偶発的に実践する場としての「置きベン」活動をする。民生委員。撮影業。稲盛和夫の元専属カメラマン。

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一般社団法人オープンダイアローグ・アプローチ研究会FLAT

●西岡望(にしおかのぞみ)
18歳からファシリテーションを学び、多様なワークショップや研修を体験しながら、子ども支援やまちづくりなど様々な場づくりに関わる。2018年に精神科に入院した体験あり。2020年からオープンダイアローグやナラティヴ・セラピーを学び始める。オープンダイアローグ以前から学んでいたダイアローグについて学ぶ勉強会「対話のきくはなすを学ぶ場」も主催。

●久保田晃祥(くぼたてるよし)
どんな特性があっても、自分らしく、いきいきと暮らせる社会をつくりたい——。
そんな思いから、私は2つの活動を行っています。ひとつは、対話の文化を広げる「FLAT」の活動。もうひとつは、発達障害のあるおとなの方の雇用を広げるための「NPO法人ヴィータ」の取り組みです。ヴィータでは、これまでに発達当事者向けにオープンダイアローグを活用した対話の場を400回以上開催し、延べ2,500人以上の方にご参加いただいています。

●川島真希子(かわしままきこ)
FLATの事務局担当。WRAPファシリテーター。17歳の時から精神科ユーザー。自身も生きづらさを抱えた経験から、精神疾患を抱えていても自分らしく人生を生きていけるように、その人のリカバリーを支えたいと、地元群馬にてリカバリーカレッジぐんまを主催。リカバリーのための学びの場とオープンダイアローグの理念を大切にした対話の場を毎月開催している。