共同代表理事 西岡望(クロ)
「対話」は、私にとって「生きのびるための手段」でした。
生きづらさを抱えていた10代20代の頃、私は自分の抱える暗い感情を吐き出せる場を探し求めていました。身近な人に言えない私は、外の世界に「話したいことを話せる場」を持とうとしていました。
私を生き永らえさせてくれたのは、紛れもなく「人との出会い」でした。しんどい気持ちを話してもいいよ、自分もこんなつらさを抱えているよ、暗闇を抱えたまま生きてもいいんだよ。私を否定することなく、そのままを受け入れ、ただ話を聴いてくれた人たち。彼らは特に専門家ではありませんでした。かといって、友達というわけでもありませんでした。
誰かが話を聴いてくれる。
それは、紛れもなく「わたしが大切にされる」時間でした。
それは、少しだけ「ひとりぼっち」じゃないような気がする時間でした。
すべてのことが「対話」で解決するわけではありませんが、「話したいことを話せる」時間は、病気があろうとなかろうと、すべての人が「自分自身の声を聴く」ためにあるといいな、と思っています。
オープンダイアローグの思想や仕組みは、わたしがつくりたい場を言語化してくれているように感じました。声に出しにくいことも話せる場をつくるために、もっといろんな場所でオープンダイアローグが広がっていくよう、これからも活動していきたいと思います。
共同代表理事 久保田晃祥(とらっち)
私は発達障害の当事者として発達障害の居場所づくりをしていて、その一環としてオープンダイアローグの活動を2021年の4月から行っています。一社設立の22年12月時点で延べ800人以上の方に参加いただいています。
オープンダイアローグは、精神疾患等を抱えている人だけでなく、ストレスを多く抱える一般の方でも有効な対話であり、この文化を皆さんに知ってほしいと考えています。
社会全体が息苦しさを感じるような現代で、医療でもカウンセリングでもない第3の選択肢としてのオープンダイアローグを提案していきたいと考えています。
「インフラとしてのオープンダイアローグ」というのは我々の一番大切なビジョンであり、非常に大きな目標です。
ありのままで話していい場所がある。ありのままの自分を受け止めてくれる場所がある。自分の意見が尊重される場所がある。難しい手法を学ぶこともなく、自然にそういった場ができあがる。これもオープンダイアローグの大きな長所です。
この団体を立ち上げるにあたり、皆さんにこういったオープンダイアローグのすばらしさ奥深さを知っていただきたいと考えています。
理事 川島真希子(かわしま)
この度、一般社団法人オープンダイアローグ・アプローチ研究会FLATの理事に就任しました川島真希子と申します。
私が『オープンダイアローグ』という言葉に出会ったのは、自分自身の病気と上手に付き合っていくためにリカバリーカレッジに通っていた時でした。それから数年経って、どんなものなんだろうと、オンラインのオープンダイアローグの場に飛び込んだ時、自分の話をこんなにも真剣に聴こうとしてくれる人たちがいること、そういう場があることを知り、大きな衝撃を受けました。と、同時に、その場の温かさに涙がとまらなかったことも覚えています。
その後、聴き手の立場も体験し、誰かの話を聴くこと、応答すること、何よりその場にいることは、聴き手のリカバリーにも役に立つのではないか、と感じました。話す人も聴く人も、場にいる全員にリカバリーが起こる、そんな可能性を私はオープンダイアローグに見出しました。
そんな体験から始まった私とオープンダイアローグとの付き合いですが、FLATの活動を続ける中で、オープンダイアローグという言葉をきっかけに、本当に色々な方と出会うことができました。これからも『オープンダイアローグ』がどんな出会いを運んできてくれるのか、そして自分の世界がどう変わっていくのか、とても楽しみにしています。